暗闇に鳴り響く公衆電話のベル。受話器を取ってしまったその瞬間、不思議な夏が始まる。 君が電話をかけていた場所
三秋 縋
定価(本体570円+税) 

「賭けをしませんか?」と受話器の向こうの女は言った。
「十二歳の夏、あなたは初鹿野さんに恋をしました。しかし、当時のあなたにとって、彼女はあまりに遠い存在でした。『自分には、彼女に恋をする資格はない』。そう考えることで、あなたは初鹿野さんへの想いを抑えつけていたのです。……ですが、同時にこうも考えていました。『この痣さえなければ、ひょっとしたら』と。では、実際に痣を消してみましょう。その結果、初鹿野さんの心を射止めることができれば、賭けはあなたの勝ちです。初鹿野さんの気持ちに変化が起きなければ、賭けは私の勝ちです」

著者プロフィール

三秋 縋
1990年生まれ、岩手県在住の作家。ウェブ上で『げんふうけい』名義の小説も発表し、人気を博している。