「俺は、多分、なんだって、視える」
「僕は、大体のものは、つくれますから」
皮肉屋の青年・叶義は幼い頃、あやかしの神隠しに遭って以来、いかなるものも“視えないものはない”という。妖しい美貌を持つ飴細工師・牡丹はその手で“つくれないものはない”という──。
二人の青年が営むは、世にも不思議な妖怪飴屋。奇妙な縁に惹かれた彼らは、祭り囃子の響く神社で今宵も妖怪飴をつくりだす。人と寄り添うあやかしの、形なき姿を象るために。あやしうつくし、あやかし飴屋の神隠し。
第13回電撃小説大賞<大賞>を『ミミズクと夜の王』で受賞、電撃文庫より同作でデビュー。メディアワークス文庫からは『ガーデン・ロスト』を刊行、根強いファンを持つ。
眠れない夜を生きる少女たちの失花園