黒崎の仕事は、人殺しだ。しかし土日は休みなので、たとえ高額の依頼があっても断る。彼は真面目な男なのだ。
正哉は、勉強もスポーツも万能の天才少年だが、いまは万引きを繰り返す日々。ある少女と出会い、彼は初めて恋というものを知ることになる。
翔子は、太めの男性専門の結婚詐欺師。相手にサービスするのだから見返りは当然と考える、良心的な女性だ。
どこか歪んだ生き方をする彼らの運命が交錯するとき、奇妙で予測不可能なドラマがうねりはじめる――。
切なくも意外なその結末に、人生の美しさを痛感する。
第19回電撃小説大賞への応募作を改稿した本作にてデビュー。当面の目標は10年後も小説家を続けていることと、地上最後のガラケー使いになること。趣味は献血。
古ぼけた小ぶりなアパート、斎藤ハイツ。 そこには〈わけありの人〉ばかりが住んでいる。