夜中の一時に乗り込んだ客は、座るなり「ああー」と唸(うな)った。

「ど、どうかされましたか?」

 タクシー運転手の真中泰男(まなかやすお)は、バックミラー越しに慌てて声を掛ける。

「ああ。驚かせて悪かったね、運転手さん。実は腰が痛くってさ。車に乗り込むのも一苦労ってわけよ。もう年だね」

 年齢は五十代前半くらいだろうか。スーツ姿の男は恥ずかしそうに笑った。真中はほっと胸を撫(な)で下ろす。深夜には厄介な客も多い。男は愛想もよく、酔っているようにも見えなかった。

「そういうことでしたか。お辛(つら)さ、わかりますよ。私も腰痛とは長年の付き合いです。まぁ職業病なんで仕方ないですがね」

「座りっぱなしってのがよくないみたいだね。俺もそうなんだ」

「今日はお仕事でこんな時間に?」

「ああ、ちょっとトラブルでね。こんな時間になっちまった」

「お疲れさまです」

「ほんっとお疲れさまだよ。くたくただ。日本人は働き過ぎだよ。そう思わない?」

 真中は笑いながら頷(うなず)いた。それからも男はよく喋(しゃべ)った。少しハイになっているのだろう。タクシーの乗客には二種類しかいない。喋りたい客と喋りたくない客。プロの運転手は、すぐにそれを見極めて対応しなければいけない。この判断を間違えると客に不快な思いをさせてしまう。三十六歳のときにタクシー業界に転職をして十年。真中は、ようやく客あしらいがわかってきた。

「ブラック企業ってのはよく言ったもんだね。しかしホワイトな企業なんて、この日本にあるのかな」

「さぁ、あるところにはあるんでしょうけどねぇ」

「運転手さんなら、いろんな会社の人間を乗せるでしょう。だから、どこか知らない?」

「いや、まいったなぁ~」

 真中は苦笑いをする。「まいったなぁ~」という口癖は、客あしらいのひとつとして覚えたものだ。なにかうまい冗談を思いついたとき以外は、返答は曖昧にしておくのがよい。客は答えを求めているわけではないのだから。以前は生真面目(きまじめ)に考え込んでしまい、よく失敗をした。

「あるならお目にかかってみたいよ。でもこの年じゃあ、もう転職は無理だな。定年までの我慢、か。いやしかしこのご時世、定年退職もできるかどうか。はぁーそれにしても疲れた。最近は疲れが取れなくっていけねえよ。ああ、腰が痛い」

 男は心底辛そうな顔をして腰をさすった。その辛さがわかるだけに同情する。

 この男になら、あの店をすすめてもいいかもしれない、そう思った。

「お客さん、疲れているんなら、いいお店があるんですよ」

「いい店? いきなりなんだよ。いかがわしい店と結託しているってんなら勘弁だよ」

「そ、そういうんじゃありませんよ」

 ただでさえそういう話題が得意ではない真中は慌てて首を振った。

「え、えっと、あの。なんというか、その。私の個人的なおすすめのお店で。あっ、それは個人的におすすめするそういうお店というわけではなく!」

 しかし意識をすればするほど、しどろもどろになってしまう。その様子を見た男が声を上げて笑った。

「冗談だよ。運転手さん、そんな人には見えないからな。で、そのおすすめってのはいったいなんのお店なんだい?」

「銭湯です」

「ああ、銭湯。最近は多いよね。チェーン店」

「いえ、そこはなんというか……昔ながらの銭湯で。『五福の湯 』といいます」

 昔ながらの銭湯と聞いて、男は「ほう」と身を乗り出した。

「それって、いわゆる番台があるやつかい?」

「はい。何度か改装はしているみたいですが、町屋造りで味のある銭湯ですよ」

「そりゃあいい。そんな銭湯があるとは知らなかったよ。さすが詳しいね」

「私も教えてもらったんですよ。実は不思議なことがありましてね」

 不思議なことと聞いて、男は再び身を乗り出す。

「なんだかおもしろそうじゃないか。聞かせてよ」

 この人ならそう言ってくれると思っていた。真中は内心でニヤリとしながら、あの不思議な出来事のことを話し出した。

 あれは、ちょうど一年前のことである。


                *


 ガコンッ。

 真中は自動販売機から冷たい缶コーヒーを取り出した。コンクリートの塀で囲まれた、小さな公園の脇に車を停めてひと休みをする。秋の風がようやく涼しくなってきた。真中はボンネットの側に立ち、その風を全身で味わいながら伸びをした。腰痛を患う彼は、定期的に車から降りてこうしてストレッチをする。うーんと腕を上に伸ばし、顔を上げてハッとする。目の前に鮮やかな黄金色が広がっていた。その公園には大きなイチョウの木があり、小さな扇子たちがもう黄色く染まっていたのだ。

「綺麗(きれい)だなぁ……」

 思わず独りごちる。缶コーヒーを飲みながら、しばらく見入ってしまった。そのときである。

 タンッ。

 小さな物音が聞こえた。

「ん?」

 真中は車を確認する。しかし屋根やボンネットに異常はなかった。

「銀杏の実 でも落ちたかな?」

 ならば特に気にすることはない。真中はコーヒーを飲み干すと、車に乗り込んだ。窓を全開にしておいたので、車内の空気が入れ替わっており気持ちがいい。ちょうどそのタイミングで無線が入った。エンジンをかける。するとそのとき、後部座席になにか気配を感じた。おそるおそるバックミラーで確認をする。

「あっ」

 そこにあったのは、小さな黄金色の扇子。それは白いシートの上でよく映えていた。どうやら全開にした窓から舞い込んできたようである。かわいらしいお客様に、思わず笑みがこぼれた。

「よっこらしょ」

 腰を気遣いながら後部座席のそれを拾い上げる。指先で摘んで しばらくじっと見たあと、胸ポケットのなかに入れて出発をした。


                  *


 送迎先の病院にいたのは 、腰の曲がったおばあさんだった。真中は運転席を降りて手を貸す。おばあさんは杖(つえ)をついていた。

「すみませんねぇ、転んで足を痛めてしまって」

 真中は「いえ」と言ってにこやかに笑う。おばあさんの行き先は自宅だった。

「もうすっかり秋ねぇ」

 客商売の人間にとって、天気と季節の話題は鉄板だ。しかしそれを客のほうから振ってきた場合、その人は気を遣って話をしようとしているか、それを皮切りになにか話したいことがあるかのどちらかであることが多い。真中はなんとなく、彼女は前者だろうなと思った。だからこちらから話題を広げるため、さっき見たイチョウのことを話した。

「まぁ、それは見てみたいわ」

 おばあさんは穏やかな笑みを浮かべ目を細めた。ひととおり世間話をして、話題が途切れたところでお互い無言になる。やはり彼女は礼儀として世間話をするタイプの人間だったようだ。もしかしたら昔、客商売をやっていたのかもしれないな。真中はそんなことを考えながら、運転だけに専念をした。しばらく走り、赤信号で止まったそのときである。

「まぁ、このタクシーには猫ちゃんが乗っているのね」

 そんなことを言われて「えっ」と声が出た。どういうことなのかわからず、慌てて後ろを振り向く。すると後部座席、おばあさんの横に、なんと本当に三毛猫が座っていたのだ。

「えっ、ど、どうして?! 」

 動揺したが、今は運転中だ。すぐに前を向いて信号を見る。赤信号中だったのが幸いだ。しばらくして青になった。そして「まいったなぁ~……」と、真中の顔も青くなった。まったくわけがわからないが、猫がいるのは事実であり、客によってはそれを不快に思うだろう。このことを会社に報告されてしまったらどうしようかと、咄嗟(とっさ)にそう思ったのである。しかしその心配は 杞憂(きゆう)であった。

「かわいい猫ちゃんねぇ。おいで、おいで」

 おばあさんはそう言って手を出した。人に慣れているのか、猫は素直に「みゃあ」と撫でられる。バックミラー越しに見ると赤い首輪をしていた。飼い猫のようである。そして彼女も同時にそれに気づいた。

「あら、この赤い首輪どこかで……ああっ、あなたもしかして三助(さんすけ)?」

「知っているんですか?」

「ええ、間違いないわ。この子、『五福の湯』にいる三助よ」

 五福の湯、と真中は繰り返す。そんな名前の銭湯チェーンがあっただろうか。

「足を悪くするまではよく行っていたのよ。とってもいいところよ」

「場所を教えてもらえますか?」

 とにもかくにも、このおばあさんが飼い主のことを知っていて助かったと、胸を撫で下ろす。五福の湯はここからそう遠くはなかったので、帰り道に届けることにした。

「よかったわねぇ、三助。無事におうちに帰れて」

 そう言って猫を抱き上げたおばあさんが「あら?」と、なにかに気がついた。摘み 上げたのは、黄金色の小さな扇子。三助の背中についていたのだ。真中は「あっ」と思う。さっきの公園で窓から舞い降りたのは、どうやらイチョウの葉だけではなかったらしい。そういえばタンッと小さな音がしていた。あれは着地をしたときの足音だったのだ。後部座席でイチョウの葉を見つけたとき、猫は座席の陰にでも隠れていたのだろう。思わず吹き出してしまう。

「あら、どうしたの。運転手さん」

「いえ、猫のお客さんなんてはじめてだなぁと思いましてね。まいったなぁ~」

「うふふ。おもしろいこともあるものね」

 車内が和やかな空気で満たされる。窓からやさしい秋の風が吹き込んだ。


                *


「へぇ、ここが五福の湯か」

 そこは想像していたチェーンのスパ銭ではなく、木造町屋造りのレトロな銭湯であった。もふもふの猫を抱いて「ゆ」と書かれた藍色の暖簾(のれん)をくぐる。玄関には鍵付きの下駄箱があったので、とりあえずそこに靴を入れた。猫はおとなしく抱かれている。一段上がると、古びた木の床がギシリと鳴った。小さなロビーには誰もいなかった。突き当たりには女湯、男湯と書かれ色分けされた暖簾がある。おそらく従業員はその奥にいるのだろう。風呂に入りに来たわけではないが仕方がない。真中は「ごめんください」と男湯の暖簾をくぐった。その瞬間である。

「いらっしゃいませ!」

 思いがけない近さで声をかけられて「わぁ」と声が出た。番台だ。年季の入った木製のものだった。真中は猫を抱いたまま釘付(くぎづ)けになる。それは番台が珍しかったからということもあるが、もうひとつ。そこに座っているのが金髪の若い男だったからだ。

 ――さっき見たイチョウの葉と同じ色だ。

 真中は目をぱちくりとさせながらそう思った。しかし驚いたのは彼も同じだった。

「ああっ、三助! どこ行っていたんだよ?!」

 猫を指して大声を出す。慌てて説明をした。

「あ、あの、私のタクシーに乗り込んでいたんです。お客さんにここの猫だって教えてもらって」

「ええっ! おまえタクシーに乗ったの? なにVIPなことしてんだよ!」

 すると三助が腕のなかからするりと逃げ出した。どうやら悪いことをしたという自覚があるらしい。真中はなんとなく気の毒になって、猫のフォローをした。

「あ、いや、イチョウと一緒に迷い込んだだけですよ」

「えっ、イチョウ?」

 つい余計なことまで言ってしまい「まいったなぁ~」と冷や汗が出る。小首をかしげる若い男は、同性でもどきっとしてしまうほどくりっとした印象的な瞳をしていた。服装はジーンズにTシャツとカジュアルで、耳にはシルバーのピアスが光っている。シンプルだが不思議とお洒落(しゃれ)に見えた。こういうイマドキのタイプは得意ではないので、しどろもどろになってしまう。しかし金髪の彼はそんなことは気にも留めずに、番台から降りると深く頭を下げた。

「ありがとうございました! こいつ、すぐ散歩に行っちゃうんですけど、今日は遅いから心配していたんですよ」

 見た目のイメージとは異なる丁寧な対応だった。そして落ち着いてよく見れば、人懐っこい顔つきをしている。そんな彼が、真剣な顔をしてこう言った。

「それで、あの、代金のほうは……」

 なんのことかわからず、一瞬きょとんとしてしまう。乗車賃のことを言っているのだとわかり、真中は思わず吹き出した。

「猫にメーターは入れませんよ」

 笑った拍子に、反射的に腰をかばう。以前くしゃみをしてギックリ腰をやってから、日常の些細(ささい)な動作にも気を遣うようになっていた。

「お仕事中なのに、本当にありがとうございます!」

「いえ、とんでもないです」

 再び深く頭を下げられて、真中も腰に手を当てたまま礼を返した。そして「あれ?」と思う。さっき感じた苦手意識が、いつのまにか吹き飛んでいた。すると頭を上げた彼が、じっとこちらを見つめて言った。

「ところで運転手さん、腰痛持ちですか?」

 真中は驚いた。あの小さな動作に、彼は気づいていたのだ。

「え、ええ。持病なんです。職業柄、仕方がないんですが」

「腰痛、お辛いですよね。今日はお仕事何時までなんですか?」

「えっ? 今日は夜勤なので朝までになりますが……」

 どうしてそんなことを聞くのだろう。すると金髪頭の顔がぱあっと明るくなった。

「じゃあちょうどよかった!」

「えっ、なにが」

「明日から薬湯を変えようと思っていたんです。お客さんのために特別な薬湯を用意しますよ。今日のお礼です」

「ちょ、それはどういう……」

「ぜひ入りに来てください! あっ、俺は五代目番頭の二郎(じろう)っていいます。お待ちしております!」

 なんだかわからないが押し切られてしまった。真中は小さく「まいったなぁ~」と呟くと、帽子を取って頭を掻(か)いた。

 ふと気がつくと、足元に三助が。真中を見上げて「にゃあ」と鳴いた。


                 *


「へぇ、猫がタクシーに! そりゃあおもしろい出会いだな」

「はい。それ以来、夜勤明けの日には五福の湯へ通っているんです」

「で、その特別な薬湯ってのはどういうものだったんだい?」

 真中はあのときの湯を思い出しながら、ゆっくりと口を開いた。

「黄金色の湯ですよ」

 男は「黄金色の湯!? 」とそのまま繰り返す。

「そりゃあいったいなんの湯なんだよ。運転手さん」

「内緒です。あ、でもちょうど今、それになっているはずですよ。秋の薬湯ですから」

「そんなこと言われたら気になっちゃうなぁ。運転手さん、やっぱり結託しているでしょ!? 」

「まいったなぁ~違いますよ。本当にいいところなので、心からおすすめをしているんです。それだけですよ」

「だーから冗談だよ。あんたみたいな人が言うんなら、本当にそうなんだろうな」

 そして男は「あ、この辺でいいよ」と目的地周辺で言った。車を停めてお金を受け取る。真中が「ありがとうございました」と言い、男が車を降りようとしたそのときだった。

「なぁ、運転手さん。その猫は招き猫だったんじゃないかい?」

 男がニヤリと笑いながら、そう言った。真中は「招き猫」と繰り返す。

「五福の湯だっけ? 今度行ってみるよ。あーいてて……」

 男はそう言うと車を降り、路地へと消えて行った。

 招き猫、か……そういえば三助は三毛猫だ。一般的な開運の招き猫は三毛猫であることが多い。

 じゃあ三助は、俺を五福の湯へ呼び込むためにタクシーに乗り込んだ……?

「まさかね」

 真中はふっと笑う。しかしそのおかげで、あの場所に出会えたのは事実だ。あのとき入った、黄金色の湯のことを思い出す。思わず顔がにやけた。

 ああ、早くあのお風呂に入りたい……!

 夜勤は辛いが、それが待っていると思うと頑張れそうだった。


                *


「はぁ~、こりゃあまいったなぁ…………」

 真中は思わず声を上げた。しかし今回は、困って出た言葉ではない。

 ここは五福の湯。そして彼が入っているのは黄金色の湯だ。その正体は……。

「ぴりりと刺激的な香りの中に、ほんのりと甘みが香る。体はすぐにほかほかとあたたまって……こりゃあ確かにたまらんなぁ」

 どこかで聞いた声にはっとして見ると、そこにいたのは昨日の客だった。

「黄金色の湯ってのは、しょうが湯だったんだな。気になって来ちまったよ」

 もう長いこと浸(つ)かっているのだろう。笑っているその顔は真っ赤だった。

「お客さん! 本当に来てくれたんですね!」

「ここじゃお客さんはやめてよ、運転手さん……って、俺もか」

 二人は吹き出して名乗りあった。

「いやぁ、まさかこんなにも味のある銭湯だとは思わなかったよ」

「はい、僕もすっかりハマってしまいました」

「しょうが湯もいいねぇ。で、これがどうして特別な薬湯なんだい?」

 そのときだ。「失礼しまーす!」の掛け声とともに、しょうが湯と同じ髪色をした若い番頭、二郎が湯殿に入ってきた。カランの前に置かれっぱなしの桶(おけ)や椅子を片付けながら口を開く。

「しょうが湯にはですね、血行促進と保温効果があるんですよ。身体をあたためることで、肩こりや腰痛の症状が和らぎます。だからあのとき、真中さんにこの薬湯を用意したんですよ」

 二郎は手際よく整理整頓をしながら、歌うように話した。

「本当にありがとう。ここの風呂のおかげで、仕事が頑張れるよ」

 真中がそう言うと、二郎はにっこりと笑った。相変わらずのイケメンだと思う。金髪でなければ、もっと受けがいいだろう。しかしこの金髪でこそ彼なのだ。真中は彼の頭と同じ色をした湯をすくってじっと見た。すると二郎が言った。

「お礼を言うのは俺のほうですよ」

「えっ、どうして?」

「真中さんがうちに来るようになってから、お客さんが増えたんです。みんな言うんですよ。タクシーの運転手さんに聞いたんだって。ほら、横井(よこい)さんだってそうでしょう」

 横井さんとは真中の隣にいる男である。初めての客なのに、もう名前を聞いているあたりさすがは二郎だ。

「真中さんが勧めてくれるおかげです。ありがとうございます!」

「いや、まいったなぁ~……」

 そんなふうにまっすぐお礼を言われたら照れてしまう。そのときだった。入り口の向こうから「にゃ~ん」とくぐもった鳴き声が。見るとガラスの引き戸に、三助のシルエットが映っていた。前足で戸を開けようとしている。

「なんだよ、三助。お腹でも空いたのか?」

 二郎はそう言って戸を開けた。すると三助はまっすぐ前足を揃えて、真中のことをじっと見る。

 ――それはまるで「俺のおかげだぞ」と主張しているような……。

 真中ははっとした。

 もしも三助が、その後に口コミをすることまで見越して自分のタクシーに乗り込んだのだとしたら……?

「まいったなぁ~、それじゃあ本当に招き猫だ」

 思わず笑みがこぼれる。しかしことの真相は三助だけにしかわからない。

 五福の湯の招き猫は黄金色の湯を堪能する客たちを一瞥(いちべつ)すると、満足そうに戻っていった。