作家エッセイ 四季折々

作家エッセイ
四季折々

※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第13回 「冬とか季節とかもう関係無くね」 山口幸三郎

冬といえば、『冬ごもり』。
 満喫するんじゃなくて寝て過ごそうぜ、っていう堕落スタイルです。
 動物は冬が来る前にたらふく喰ってエネルギーを蓄え、仮死状態や昏睡状態に陥って冬を越すのだそうです。植物も余計なエネルギーを使わないようにあえて枝葉を枯らして冬越えの準備をするのだとか。偉いですねえ。賢いですねえ。季節関係なくせっせと働いているのは人間くらいのものですよ。冬の間くらいじっとしていられないのでしょうか。まったく愚かな生き物だ。
 冬が来る前に越冬の準備を完璧にこなし、春が来るまでダラダラ過ごせた奴こそがきっと勝ち組。冬に入っても働いているようじゃ駄目。自然界なら死んでまう。厳しいことを言うようだが今さらじたばたしたってもう遅い。働いたら負け。そう、いまだに働いている時点で負けなのだ。
 というわけで、私も冬の間は精一杯怠けて過ごしますよーっと。オレを働かせたければ春を連れてくるんだな。
 こたつに入ってミカンの皮を剥いて茶を啜ってテレビを見ながらウトウトしてやる。尿瓶も用意してやろうか。トイレ行かずに済むぜ! ヒャッハー! 完璧な堕落スタイルだ! オレぁ動かないぞ! 一歩たりともここから動いてやるものか! へっへーんだ、ざまーみろ!
 とか言いつつ、こたつの上にはいつだって原稿開いたノーパソがあり、動く必要がこれっぽっちも無かったとさ。

著者プロフィール

福岡県在住。2008年に第15回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞。翌年、受賞作『神のまにまに!』(電撃文庫)でデビュー。他の著作には『ハレルヤ・ヴァンプ』(電撃文庫)がある。

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