作家エッセイ
四季折々
メディアワークス文庫の作家が「季節」をテーマに綴るエッセイ。
今月は2017年1月より連続ドラマがスタートする大人気シリーズ
『探偵・日暮旅人』シリーズの著者・山口幸三郎先生がお贈りします。 ※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第14回 「冬味彩々」新田周右

 わたくし貝類が大好物なんで御座いますが、冬の貝と申しますと、やはり牡蠣が図抜けて有名で。
 ただ、わたくしがいっとう好みますのは真ツブ、ツブ貝ですな。コリコリっとした歯触りと磯の香りが、手酌のペースを早めてくれますあの貝。実は唾液腺にテトラミンという毒素が含まれておりまして、それに中ると酒に酔ったような症状が出ると申します。
 ……酒代、浮くんとちゃうやろか。そんな阿呆なことを考えておる冬の新田で御座いますが、実際にお試しになるのは大変危険で御座いますから、くれぐれもお控えください。
 おや、早いことに、そろそろ紙幅の限りが近づいて参りました。カニ、フグ、ブリ。イチゴにミカン。白菜、大根。皆さまはどのような冬の味覚をお好みで御座いましょうか。暦の上ではすでに春。けれどもまだまだ美味しい冬の幸。食中りと寒太りにご注意の上、お楽しみくださいませ。それでは、それでは。

*著者プロフィール*
大阪府出身。O型。おとめ座。好きなものは、寿司、ステーキ、天ぷら、ル〇ンド。数年、酷い鼻炎が続いたため、思い切って鼻の粘膜を薬で焼く手術に手を出した。

*新田周右の作品*
・若き異才の方石職人・白堂瑛介と人々を狂わす“魔石”をめぐる幻想奇譚
『φの方石 (ファイのほうせき)―白幽堂魔石奇譚―