作家エッセイ 四季折々

作家エッセイ
四季折々

※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第17回 「春と十年」 岬 鷺宮

 十年ほど前、高校生だった頃。吹奏楽部に所属していた僕にとって、春は「定期演奏会」の季節でした。
 一年間の集大成を家族や親戚、友達に見せる晴れ舞台。今となってはいい思い出ですが……当時は本当に大変だった!
 というのも、僕のいた高校では構成から選曲、舞台演出まで全てが部員達の手によるもので、練習に加え会場との打ち合わせなど膨大な準備を自分たちでこなさなければならなかったのです。
 そんな努力の甲斐もあってか、僕らが三年時の演奏会では会場は超満員。今でもあの日のことは大きな心の支えになっています。
 そして時は流れ、先日。
 同じ吹奏楽部員だった友人の結婚式があり当時のメンバーが再会したのですが、二次会の余興で久しぶりに一緒に演奏することになりました。
 そこで選んだのが、高校の頃演奏会で披露した曲たち。
 正直なところ、十数年ぶりの演奏はあの頃に比べても上手とは言えないものでした。
 それでも、演奏中にちらりと見た皆の笑顔はあの頃と変わらなくて、高校時代の春に戻ったような気分になったのでした。

著者プロフィール

第19回電撃小説大賞でデビューしたこじらせ系作家。最近初めて「アイロン」を購入し、「すごい! これ使うとシャツがバリってなる!」と毎晩のように感動しています。

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