作家エッセイ 四季折々

作家エッセイ
四季折々

※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第23回 「秋のプレミアムブレンド」 似鳥航一

 四季の中で、秋が最も好きな方というのは結構多いのではないでしょうか?
 自分も秋生まれのせいか、この季節は妙にわくわくします。
 食べ物は美味しいですし、紅葉などの景色も綺麗ですし、静かで心地いい。秋の夜長は過ごしやすいだけに、読書などで心躍る時間がたっぷり楽しめますよね。
 と、そんな上記の言葉とは矛盾するようですが、秋独特の少し物悲しい感じも嫌いではありません。憂愁と言いますか、センチメンタルな気分に浸るのは案外悪くないものだと思います。別にナルシストではなくても。
 例えば、落ち葉が降る中を一人散歩してみたり、静かなピアノ曲を聴いてみたり。そんな行為の最中、過去を思い返して頭を抱えたくなるのも、たまになら乙なものでしょう。
 高揚と寂しさ。自由と孤独。楽しさと切なさ――それらを上質にブレンドして、本来はニュアンスの異なるものを綺麗に融け合わせる秋という季節は、人を一時的に少し大人にしてくれる気がします。

著者プロフィール

東京都在住。電撃小説大賞で見い出され、電撃文庫にてデビュー。小説のほかに、ゲーム制作も手掛ける。一癖も二癖もある人物造形には定評がある。

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