作家エッセイ
四季折々
メディアワークス文庫の作家が「季節」をテーマに綴るエッセイ。
今月は2017年1月より連続ドラマがスタートする大人気シリーズ
『探偵・日暮旅人』シリーズの著者・山口幸三郎先生がお贈りします。 ※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第24回 「ささやかな冬の遭難」マサト真希

 取材に行くとほぼ遭難します。
 遭難は誇張だった、正確には迷子です。
 しかし見知らぬ土地での迷子は遭難に等しい。うら寂しく人気のない山中とか林の中とか城跡とか、まるで地図のないオリエンテーリング。独り林間学校……。
 もちろん新刊の取材先でも迷子になりました。
 冬の岩手、花巻城址の空堀の底です。
 なんでそんな場所に、という経緯は文字数が足りないので簡単に書くと単に迷った。
 周囲は雪の積もる枯れ草の土手。他に道はない。仕方なしに枯れ草をつかんで上り、何度も滑って荷物をぶちまけ、ほうほうの体で這い上りました。
 上った先は小学校の前でした。いきなり出現した雪まみれの人影なんていたいけな児童たちにとっては通報案件ですが、幸い休日。助かったあー!
 ……という今年の冬の思い出。そんな行き当たりばったりの旅と人生も悪くない。ただし無事に帰宅できたら、という結果ありきで。

*著者プロフィール*
静岡県出身。六月生まれ。『スカイワード』(電撃文庫)でデビュー。旅とおいしいご飯と読書と映画と睡眠が生き甲斐。行き当たりばったり体当たりの取材旅行ばかりしています。

*マサト真希の作品*
・江姫――信長・秀吉・家康ら乱世の英雄の生き様を見届けた誇り高き美姫の物語
『江姫 ―乱国の華― 上 浅井の幼姫』

・秀吉の激動の人生に翻弄される江姫。 転変の運命を歩む彼女の決断とは――!?
『江姫 ―乱国の華― 中 岐阜宰相の妻』

・秀吉の死と家康の台頭に再び世は乱れる 江ら三姉妹の波乱の生涯の結末は――!?
『江姫 ―乱国の華― 下 将軍の御台所』

・醜い魔女の娘と美しい奴隷の王子。瓦解する 帝国の辺境で、二人は数多の物語を紡ぐ――。
『アヤンナの美しい鳥』

・〝おいしい旅〟を、お届けします。 元気になれるフード&ロードノベル登場!
『まいごなぼくらの旅ごはん』