作家エッセイ
四季折々
メディアワークス文庫の作家が「季節」をテーマに綴るエッセイ。
今月は2017年1月より連続ドラマがスタートする大人気シリーズ
『探偵・日暮旅人』シリーズの著者・山口幸三郎先生がお贈りします。 ※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第25回 「新年最初のトリック」久住四季

「おう、清水寺行くぞ。支度しろ」
 年越しの瞬間、突然戸を開けて父がそう言い放った。こたつでみかんを食べながらゆく年くる年を見ていた高三の僕はぽかんとした。実家は島根県である。時刻は深夜。当然新幹線も飛行機もない。なのに、今から京都? 車か? 車なのか? 京都までは、えーと五時間ぐらい? そもそも初詣って神社だろ? 寺もありなの? そう矢継ぎ早に考えながらマフラーを巻いて外に出ると、父は平然と車を暖気していた。僕は額を押さえた。やっぱ車かー! あーもうわかったよ、付き合ってやるよ。限界の、その先までな! 完全に深夜のテンションである。僕は車に乗り込んだ。
 結果、清水寺には三十分で着いた。
 そんな馬鹿な! 一体どんなトリックで!?
 気になる方はぜひ『清水寺』『島根県』でググってみてください。きっとこう叫ばれることでしょう。「おう、そんなオチかい!」
 といったところで皆様、あけましておめでとうございます。

*著者プロフィール*
『トリックスターズ』(電撃文庫)でデビュー。近著『星読島に星は流れた』(東京創元社)は米澤穂信に激賞される。現在注目される若手ミステリ作家のひとり。

*久住四季の作品*
・俊英 久住四季の原点、あの傑作ミステリが復活!
『トリックスターズ』

・俊英 久住四季の原点、傑作ミステリ復刊。魔術師と“L”の物語!
『トリックスターズL』