作家エッセイ 四季折々

作家エッセイ
四季折々

※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第27回 「スヌスムムリク」 天沢夏月

 個人的に、夏と冬は長く、春と秋はその狭間の季節という感じがします。四季というのは実は二季で――つまり、夏と冬の間を行ったり来たりしているだけで、その移ろいの過程に春と秋という名前がたまたま与えられているだけなのではないかと……こんなことを言うと春や秋が好きな人に怒られそうですが。
 春、というとやはり四月をイメージする方が多いのでしょうか。それとも三月? 自分の場合は、三月を思い浮かべます。おそらく花粉症の影響も多分にありますがそれはさておき、二月が終わって少しずつ気温が上がってくると――“ああ、冬が終わったな”という雰囲気に“春”を感じたりします。それからしばらくすると気温が上がり始め――今度は“あ、夏が始まったな”と思うのです。
“春が始まった”と思うことも“春が終わった”と思うことも、個人的にはあまりありません。なんとなくいつのまにかやってきて、なんとなくいつのまにかいなくなっている……なかなかの風来坊だと思うんですよ、春って。なんだかスナフキンみたいだ。

著者プロフィール

1990年生まれ、神奈川県在住。『サマー・ランサー』にて第19回電撃小説大賞〈選考員奨励賞〉を受賞し、デビュー。瑞々しい感性で描かれる青春小説に定評のある気鋭の作家。

天沢夏月の作品

バックナンバー

ページの先頭へ