作家エッセイ 四季折々

作家エッセイ
四季折々

※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第28回 「零れ桜」 北川恵海

 春といえば、日本人が大好きな桜! 満開の桜も美しいものですが、一番は何といっても零れ桜。京都の木屋町通りの川沿いにある桜並木は圧巻です。私も毎年のように訪れます。零れ落ちた桜の花びらが川面を覆い尽くし、桜色に染まった川が緩やかに流れるその情緒。ほんのひと時だけ咲き乱れ、去りゆく姿が一番美しいなんて、なんて粋なんだ、桜。もし桜が三か月も咲き続ける花だったら、こんなにも皆に愛されていなかったかもしれません。儚く散る運命だからこそ美しい。擬人化するなら間違いなく薄幸の美少女。漆黒の髪と瞳に、透き通るような肌、もちろん頬と唇は淡い桜色……。こんな時、絵が描けたら楽しいだろうなあ。桜の美少女、誰か描いてくれませんかね。

著者プロフィール

大阪府吹田市生まれ。『ちょっと今から仕事やめてくる』で第21回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞しデビュー。珈琲と紅茶、甘いものとTVと音楽をこよなく愛する。

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