作家エッセイ 四季折々

作家エッセイ
四季折々

※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第29回 「インナーワールド。」 ハセガワケイスケ

 以前は、春が一番好きな季節でした。
 春といえば、あたたかい。ボクは寒さに弱くひどく苦手で、それこそ毎年首を長くし春を待ち焦がれておりました。ところがです。――暦の上ではSpring状態でも、三月になっても、「ぜんぜん寒い!」じゃあないですか。桜が咲くころになっても実はまだ肌寒い。ライトアップに誘われ夜に花見などしくさった日なら、なりかけのゾンビみたいな蒼白い顔をせにゃあなりません。
 それと気づくまで信じ切っていた『春マジ温暖最強説』はただの思いこみだった。とある日、気づいてしまいました。「春ぜんぜん寒っすね」と。Gentleに温かいのはほんの一ヶ月ほど。「うわマジ春っ」なんて浮かれるとすぐに四月五月そして夏日真夏日猛暑日。大好きだった春とは一体なんだったんでしょう。その正体は〝幻〟などじゃなく。春という詞花に胸躍らす心のイノセントワールドだったのかもで。とすると今は……?

著者プロフィール

12月26日生まれ。福井県出身。最近、コーヒーをブラックで飲めるようになりました。でもやっぱりあまいカフェオレも大好きです。
instagram.com/hasegawak

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