作家エッセイ
四季折々
メディアワークス文庫の作家が「季節」をテーマに綴るエッセイ。
今月は2017年1月より連続ドラマがスタートする大人気シリーズ
『探偵・日暮旅人』シリーズの著者・山口幸三郎先生がお贈りします。 ※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第29回 「インナーワールド。」ハセガワケイスケ

 以前は、春が一番好きな季節でした。
 春といえば、あたたかい。ボクは寒さに弱くひどく苦手で、それこそ毎年首を長くし春を待ち焦がれておりました。ところがです。――暦の上ではSpring状態でも、三月になっても、「ぜんぜん寒い!」じゃあないですか。桜が咲くころになっても実はまだ肌寒い。ライトアップに誘われ夜に花見などしくさった日なら、なりかけのゾンビみたいな蒼白い顔をせにゃあなりません。
 それと気づくまで信じ切っていた『春マジ温暖最強説』はただの思いこみだった。とある日、気づいてしまいました。「春ぜんぜん寒っすね」と。Gentleに温かいのはほんの一ヶ月ほど。「うわマジ春っ」なんて浮かれるとすぐに四月五月そして夏日真夏日猛暑日。大好きだった春とは一体なんだったんでしょう。その正体は〝幻〟などじゃなく。春という詞花に胸躍らす心のイノセントワールドだったのかもで。とすると今は……?

*著者プロフィール*
12月26日生まれ。福井県出身。最近、コーヒーをブラックで飲めるようになりました。でもやっぱりあまいカフェオレも大好きです。
instagram.com/hasegawak

*ハセガワケイスケの作品*
・青春は、使い古された体操着。 だから今こそ、サブカろう。
『いのち短しサブカれ乙女。』