作家エッセイ 四季折々

作家エッセイ
四季折々

※メディアワークス文庫に挟まれている刊行情報チラシ「HeadLine」にも同じエッセイが載っています。
第32回 「怪談」 浅葉なつ

 夏といえば怪談話ですが、神様の話を書かせていただいている手前、神社では資料のために写真を撮ります。すると「変なモノが写りこんだりしていることってないの?」と、訊かれることがあります。
 残念ながら私は、霊感というものが皆無です。これまでいくつもの神社・霊場に足を運びましたが、人外のモノを写したことはありません。この神社は清々しいなとか、ここはちょっと好きじゃないなとか思うことはあっても、それは単なる好みであって霊感とは違います。高野山の御廟に続く墓地に踏み込んだ際に、初めて足がすくむという経験をしましたが、雨降りの暗い空の下で苔生した墓石と巨木が立ち並ぶ姿を見たら、誰だって一瞬ためらうでしょう。そんなわけで霊感とか心霊現象とか、そういうものとは無縁の凡人です。
そう、だからこの夏で一番ゾッとしたことといえば、締め切りを五日過ぎてからこの原稿の依頼を思い出したことくらいですよ……。

著者プロフィール

第17回電撃小説大賞でメディアワークス文庫賞を受賞し『空をサカナが泳ぐ頃』でデビュー。他の著書に『山がわたしを呼んでいる!』などがある。

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