作家エッセイ 私のお気に入り

作家エッセイ
私のお気に入り

メディアワークス文庫の作家陣に「私のお気に入り」をテーマに語ってもらうエッセイ。
知られざる素顔が垣間見えるかも……? 今月は累計45万部突破のベストセラー小説
『オーダーは探偵に』シリーズの著者・近江泉美先生がお贈りします。

第5回 「それは締切前にやってくる」 近江泉美

 お気に入りの喫茶店があります。吉祥寺の井の頭恩賜公園のはずれにある、隠れ家的なお店です。アンティークの調度品に、おいしいコーヒー。どこか懐かしい雰囲気のすてきなカフェ、なのですが。料理がとにかくおいしくないんです……。
 思いあまって店長に聞いてみたところ、なんと店長は料理がまずいと認識してない様子。むしろ自信があるくらいで「どうしてか家族やスタッフから料理するなって言われるんだ」と笑っていました。
 お店を知って、はや数年。店長の腕前は一向に上達しません。初めて来店した人が料理を注文するところに居合わせるとハラハラします。  私の憩いの場であり、大変スリリングな喫茶店です。
 ――という、本編では描けない名もなき市民の視点で作品舞台を妄想するのが、締切に追われた時の私のお気に入りです。えっ、納期? 原稿の続き? ……そういえば、お気に入りの喫茶店が(最初に戻る)。

著者プロフィール

東京都在住。この5月でデビュー5周年を迎えました。本作はシリーズ第9弾、第8弾の『コーヒーに溶けるセピア色の謎解き』の下巻にあたるのでご注意を!

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