物 語
誰をも好いたことがない。そんな僕が“妻”を持った。
『質問が三つあります。彼女はいますか? 煙草は吸いますか? 最後に、あなたは――』
突然、見知らぬ女にそう問いかけられた雪の日。僕はその女――大野千草と“夫婦”になった。
互いについて何も知らない僕らを結ぶのは【三つ目の質問】だけ。
まるで白昼夢のような千草との生活は、僕に捨て去った日々を追憶させていく――大嫌いな母、唯一心を許せた親友、そして僕の人生を壊した“ひきこもり”の兄と過ごした、あの日々を。
これは、誰も愛せなくなった僕が君と出会い、”愛”を知る物語だ。
担当編集者が語る作品の魅力
“ひきこもり”の兄を持って育った青年が、一人の女性と不思議な夫婦関係を結ぶことから始まる物語。
心抉るハードなストーリー、独特な構成、そして心に棘を残す読後感等、その衝撃的な内容から選考会でも話題となり、大きく評価が分かれました。
感動して涙を流す人もいれば、苦しくて投げ出したくなる人もいる――。
そんな風に読む人によってとらえ方が変わる作品ですが、ひとつ確かなのは“必ず感情が揺さぶられる1冊”だということ。
きっとこの物語を読み終わったあと、無性に誰かと語りたくなるはずです。
ページをめくるのが苦しいほどに痛切な一人の青年の葛藤と、そして“愛”の物語をどうか最後までその目で見届けてください。