下町の和菓子はあったかい。人をつなぐ和菓子の物語。 お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂 シリーズ 著/似鳥航一 イラスト/わみず
物 語

 浅草の一角で、町並みに溶け込むかのように佇む栗丸堂。最近店を継いだ若い主人の名は栗田仁という。精悍にすぎる容貌で、どこか危なっかしいが腕は確かだ。
 とはいえ、店の切り盛りは別物で。心配した知人が紹介したのが葵だった。若い女性に教わるのを潔しとしない職人気質の栗田。だが、葵との出会いが、栗田の和菓子を大きく変えることになる。
 和菓子の優しい味わいがもたらす、珍騒動の数々。下町の温かさ、そしてにぎやかさに触れるひとときをどうぞ。

登場人物
栗田仁(くりた じん)

栗田仁(くりた じん)
親が急逝したため、老舗和菓子屋を継ぐことになった四代目。かつては道をそれてしまい、不良だった時期もあったらしい。だが、なにげに努力家で子供の頃から技術を叩き込まれていたこともあり、和菓子職人としての腕はかなりのもの。

葵(あおい)

(あおい)
和菓子に詳しい不思議な雰囲気の美人。見た目はちょっと幼く見えるが、栗田よりも年上らしい。のんびりした喋り方とは裏腹に芯は強く、和菓子のことになると一歩も引かないところもある。

浅羽怜(あさば りょう)

浅羽怜(あさば りょう)
自称、栗田の永遠のライバル。細見で優男だが、非常に毒舌。栗田と顔を突き合わせるたびに、喧嘩をする仲。その因縁は小学生の頃から続くという悪友にして幼馴染みである。

八神由加(やがみ ゆか)
栗田の幼馴染み。高校を中退して、フードライターをしているらしい。結構やり手とのこと。栗田や浅羽と同じく下町育ちで情に厚いところがあるが、ちゃっかり調子がいい面も。

マスター
近所の喫茶店のマスター。栗田とは古い付き合いで兄貴的存在。顔が広く、あっと驚くような人脈を持っていたりする。栗田に葵を紹介したのもマスターである。

赤木志保(あかぎ しほ)
栗丸堂の接客担当。ちょっときつめの美人で、実際思ったことははきはきと言う性格。威勢のよい江戸っ子気質の女性。

中之条(なかのじょう)
中学卒業と同時に栗丸堂で働き出した駆け出しの和菓子職人。ちょっと頼りないが、気さくな性格で、栗田を兄貴分として慕っている。

担当編集者が語る作品の魅力

下町を舞台に繰り広げられる、和菓子と人情の物語です。栗田たちが生活しているのは、実在の浅草。その名所や季節の移ろいも物語と一緒に楽しめます。登場する和菓子はどれもおいしそうで、読んでいると食べたくなると評判です。下町ならではの情の厚さにほろりとさせられること間違いなし。ほっと安心させられる物語は幅広い読者に愛されています。

コミック連載中!
お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂
作画/しのだまさき
原作/似鳥航一
キャラクターデザイン/わみず

下町浅草を舞台に描かれる、ほんのりと甘い人情ストーリー。和菓子職人の青年栗田と“和菓子のお嬢様”が、和菓子にまつわる人々の想いをつないでいきます。

コミック誌「シルフ」(毎月22日発売)にて、好評連載中!
コミックス第1巻、絶賛発売中! 『お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂』一
定価(本体600円+税)

似鳥航一
東京都在住。電撃小説大賞で見い出され、電撃文庫にてデビュー。小説のほかに、ゲーム制作も手掛ける。一癖も二癖もある人物造形には定評がある。

登場和菓子

干菓子(第1巻収録) 秋の浅草の風物詩、鷲神社で催される酉の市を回る栗田と葵。道中、二人は栗田の幼馴染みの小春に出会う。小春は頑固な父親の反対を押し切って結婚して以来、不仲に悩んでいるという。だが、血は水よりも濃い。互いに後悔をしているように見える不器用な親子に、二人は力になってあげたいと願う。小春から不仲を象徴するという和三盆の話を聞き、葵はある思いつきを提案する。

雷おこし(第2巻収録) 雷門通りを歩く栗田と葵は、雷おこしの店主と揉める男性と出くわす。男性は最近連れ添いを亡くしたのだが、それ以来、残された一人息子と仲がうまくいっていない。間を取り持つきっかけとして、子供が好きな雷おこしを探しているという。お人好しの葵にせがまれ、ひと肌脱ぐことになった栗田。だが、求めているおこしはなかなか見つからず、はては栗田自らが腕をふるうことになり。

饅頭(第2巻収録) 常連の噺家・福耳からの注文品を届けに、浅草の演芸ホールに来た栗田と葵。福耳は『饅頭怖い』を演る前、実際に饅頭を食べ、集中力を高めるという。初めての寄席を楽しみにするお笑い好きの葵。ところが、饅頭を食べた福耳は前後不覚に陥ってしまう。なんと、饅頭の中に睡眠導入剤が混入していたというのだ。自らの疑いを晴らすため、栗田は葵とともに探偵の真似事をやるはめになる。