あらすじ

いなくなる人のこと、好きになっても、仕方ないんですけどね。

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。

登場人物
  • クスノキ
    クスノキ

    人生を諦めてしまった青年。自分の寿命を三ヶ月だけ残して、すべてお金に換えてしまう。
    余生をどう過ごすか、「死ぬ前にやりたいこと」をリストにしたため始める。

  • ミヤギ
    ミヤギ

    クスノキの監視員。寿命を売った人間が自暴自棄になり問題をおこさないように見張りにやって来た。
    彼以外の人間には彼女を見ることはできない。

  • ヒメノ

    小学生のころ、クスノキと『似たもの同士』だった少女。20歳になっても互いに独り身だったら、
    そのときは一緒になるという約束をした。

担当編集者が語る作品の魅力

この作品は、もともとは『寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。』というタイトルでウェブに掲載されていたショートストーリーを作者自ら大幅加筆修正し、一本の長編小説にしたものです。
当時から、三秋縋という作者とこの作品はとても人気がありました。その理由は、作品の内容が「停滞する社会の中で、頑張れといわれ続け疲れ始めた少年少女たち」に向けた「優しい諦め」や、あえていうなら「理想の失敗」を提示していたところにあると思います。それらのいわば「負ける潤い」とも言える物語は、他の誰にも描くことの出来ない唯一無二の作風でした。これが若いネットユーザーの心に突き刺さり、癒やしていった理由だと考えています。走り続ける人生に疲れた方は、ちょっと立ち止まって脇のベンチに座り、三秋縋の本を読んでみてください。目指すべきゴールが、走る先以外にも見つかるかもしれません。

三日間の幸福
三日間の幸福

ウェブで話題のあの名作が、メディアワークス文庫『三日間の幸福』として登場!

三日間の幸福の書き下ろしサイドストーリー「小さな願い」
累計部数12万部を超えるヒット作『三日間の幸福』がコミカライズ!
『寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。』

原作/三秋 縋(メディアワークス文庫『三日間の幸福』)
漫画/田口囁一
キャラクターデザイン/E9L・田口囁一
無料マンガアプリ『少年ジャンプ+』
(集英社刊)にて好評連載中!

集英社ジャンププラスコミックスよりコミックス1~3巻好評発売中!!

三日間の幸福
作家プロフィール

三秋 縋(みあき すがる)

1990年生まれ、岩手県出身の作家。ウェブ上で『げんふうけい』名義の小説も発表し、人気を博している。

三秋作品紹介 あなたはこの名作をしっていますか?
  • スターティング・オーヴァー
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    願いってのは、腹立たしいことに、願うのをやめた頃に叶うものなんだ。

  • いたいのいたいの、とんでゆけ
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    自分で殺した女の子に恋をするなんて、 どうかしている。

  • 君が電話をかけていた場所
    上下巻構成
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    暗闇に鳴り響く公衆電話のベル。受話器を取ってしまったその瞬間、不思議な夏が始まる。

  • 僕が電話をかけていた場所
    僕が電話をかけていた場所

    もう一度、あの恋に賭けてみようと思った。二ヶ月連続、上下巻構成で贈る三秋縋の完全新作。

  • 恋する寄生虫
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    何から何までまともではなくて、しかし、紛れもなくそれは恋だった。