
美しいばかりの、僕にとってなんの意味もないはずの女性が言った。
「貴方(あなた)とお付き合いしてもいいけど、条件が三つあります。
一つ目、放課後になるまではお互い話しかけないこと。
二つ目、連絡のやり取りは出来るだけ簡潔にすること。
最後に三つ目、私のことを本気で好きにならないこと。これが守れますか?」
当時の僕には、いくつも分からないことがあった。
身近なところでは正しい嘘の告白の仕方だったり、哲学的なところであれば死であったり、詩的なところでは恋であったりした。
そしてまた一つ、分からないことが増える。自分自身のことだ。
なぜか僕は知らない彼女にこう答えていた。「はい」と。