さよなら、誰にも愛されなかった者たちへ | メディアワークス文庫賞

ただ愛され、必要とされる。それだけのことが難しかった。

第29回電撃小説大賞＜メディアワークス文庫賞＞受賞作

あらすじ

三途の川を舞台に、彷徨える者たちの救済と旅立ちを描いた感動作。

賽の河原株式会社――主な仕事は亡くなった人々から六文銭をうけとり、三途の川を舟で渡すこと。それが、わけあって不採用通知だらけの至を採用してくれた唯一の会社だった。
ちょっと不思議なこの会社で船頭見習いとしての道を歩み始めた至。しかし、やってくる亡者の中には様々な事情を抱えた者たちがいた。
三途の川を頑なに渡ろうとしない少女に、六文銭を持たない中年男性。奔走する至はやがて、彼らの切なる思いに辿り着く――。
「誰にも愛されなくて、誰にも必要とされなくて、それなら俺たちはなんのために生きていたんですか」
人々の生を見つめた、別れと愛の物語。

登場人物紹介

賽の河原株式会社

此岸の亡者の管理をしている。主な業務は亡者から六文銭を回収し、三途の川を舟で渡すこと。

【社長】菊田聡介(きくた そうすけ)

常に柔和な笑みを浮かべている一方で、胸中の見えない謎多き人物。賽の河原株式会社の代表取締役社長。

【社員】真城終一(ましろ しゅういち)

至の先輩で指導係。荒っぽい性格だが人情家で子煩悩な一面も。女性のような美しい容姿がコンプレックスで男らしさにこだわっている。

【社員】佐倉至(さくら いたる)

真面目で一生懸命。終一曰く「度し難いほどのお人好し」。わけあって就職活動に失敗し続けたところ、この会社に出会う。

【事務員】相原千影(あいはら ちかげ)

きめ細やかな気遣いでみんなをサポートしてくれる、会社が誇る有能事務員。

推薦文

櫛木理宇（小説家）

仕事とは、生を生ききること。生きることは、まっとうに死にきること。正と死のはざまを描く、彼岸が舞台のお仕事小説です。

紅玉いづき（小説家）

物語の中でまで、人の「死」で泣きたくない。でもこれは、「生きる」人の話だと、あたたかな涙があふれました。私も祈れば、花は、降りますか？

書籍情報